IT法コラム

 「強い債務」と「弱い債権」という表題に、違和感を抱く人は多いかも知れません。債務は義務等の不利益だから弱いものであり、債権は権利や利益だから強いものであるはず。特に、悪質な債権者による強引な取り立てや、土足で踏み込んだ(実際にはそんなことはありませんが)執行官が家財一切に差押えの封印票を貼り付けていく、といったイメー ...

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 法律の改正が「差分」方式で行われていることは、一般には殆ど知られていない事実の一つでしょう。例えば、2020年4月から施行予定の新民法(債権法の部分の改正法)は既に国会で成立していますが、文字どおりの新「民法」が作られたわけではなく、「第○条第1項中『△△△△』を『□□□□』に改める。」といった「差分」だけが書かれた ...

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 鎌倉時代の禅僧である道元は、「不思議な力である神通には大神通と小神通がある。世間の人は火を吹いて見せるような小神通を尊ぶが、本当の大神通は、毎日ご飯を食べ、疲れれば寝るといった、人間が生きて暮らしているという当たり前のことにある」(中村元氏による)と言ったそうです。この考えからすれば、ITの世界には、「〇〇を使えば、 ...

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 喫茶店等で何事か熱心に話し合っていると言えば、以前は生命保険か先物取引の営業と決まっていたものでした。しかし、ここ数年でこれらを圧倒するグループが出現しました。それは、IT事業者です。  しかも、生命保険や先物取引では、どことなくヒソヒソ話であったのが、IT事業者の場合、固有名詞や具体的数字の入ったスライド資料が映写 ...

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 人間には、「不定」であることに耐えられない、という性質があるのだそうです。そのためなのか、極論すれば、ゼロかマイナス100か分からない状態より、マイナス100と決まっている方がまだマシ、などということが起こります。不合理と言えば不合理ですが、あれこれと思い悩まずに済むという心理的メリットだけでなく、マイナス100では ...

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 今から十数年前、パリで行われた世界陸上の男子100メートル準決勝で、椿事が起こりました。発端は、メダル候補と見られていたアメリカの有力選手が、フライング(正しくは、false start)で失格となったことでした。同選手はフライングの判定に抗議して、走路に大の字に寝て抗議したため、競技マナーや不服申立てのあり方にも議 ...

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 人格訴訟とは、相手方に対する人格的非難を公に実現することを目的とした訴訟のことです。良く知られているところでは、離婚訴訟にはそうした傾向が色濃く出ます。そこでは、相手方(つまり現配偶者)を「有責」に追い込むために、徹底した非難の応酬が繰り広げられます。しかも、訴訟では、「(婚姻)破綻の原因は相手方の性格にある」といっ ...

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 いわゆる「消えた年金記録」、「宙に浮いた年金記録」の問題が発覚してから10年近くが経ちますが、とても解消とは言えない状態のようです。最悪の場合、記録の不在により受給できるはずのものが受給できなくなるのですから、社保庁の責任は重大です。立派な「債務不履行」であり、民間企業であれば破綻していておかしくない事態です。ただ、 ...

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 いきなり刑法の条文から入りますが、刑法235条には、「他人の財物を摂取した者は、……10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」とだけあります。つまり、他人の物を盗んでいいのかどうかという点を飛ばして、ただ刑罰の点だけを規定しているわけです。この話を聞くと、「それなら、懲役や罰金を覚悟すれば、他人の物を盗んでも ...

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 以下は、ある著作からの引用です。「できるかぎり立派に○○を確立することがわれわれの目的であるからこそ、われわれはその○○をできるかぎり厳格にテストしなければならないのであり、コトバを換えていえば、その○○の欠点を見出そうとし、それを反証しようと務めねばならない」、「われわれの最善の努力にもかかわらずそれを反証できない ...