ITプロジェクトの「ハッブル的後退」
宇宙の膨張に伴い遠方の銀河が遠ざっていく速度はその銀河までの距離に比例する、という法則をハッブルの法則といいます。銀河は速度を増していき、やがて光速を超え、事象の地平線の彼方へと消え去ります。これになぞらえ、原子力開発の世界では、時間が経つにつれ稼動時期がむしろ遠ざかっていく現象のことを、「ハッブル的後退」などと呼ぶ ...
先行着手と仮発注書
消費者契約法には、契約(の申込みや承諾)前に、その契約の義務の内容自体を実施したり、調査や物品調達といった契約締結を目指した活動を実施して損失補償を請求したり、という場合に、一定の条件の下でその契約を取り消すことができるという規定があります。事業者が消費者の困惑に乗じて契約を獲得することを禁じる趣旨の、消費者保護の規 ...
脆弱な情報システムの類型と対応
通常の業務系システムは、一定程度のバグや操作ミスがあることは避けられないという前提の下、一定の不都合な結果の発生は黙認している(せざるを得ない)状況にあると思われます。費用対効果を考えれば、これはやむを得ないとも言えるわけですが、以下に挙げるようなシステムについては、その費用対効果が破れるリスクが高く、再考を迫られま ...
システム開発プロジェクトのリスクと「義務づけ」
言うまでもないことですが、システム開発プロジェクトにリスクは付き物です。QCDを考えるだけでも、品質不良リスク、コスト超過リスク、納期遅延リスクがあります。そればかりでなく、目的不達成のリスクやプロジェクト自体の破綻のリスクまであります。そこで重要となってくるのがコントロール、その手段として出てくるのが契約やプロジェ ...
システム開発工程のV字モデルとSLCP
システム開発工程に関するV字モデルは、ある設計工程(以下、いわゆる超上流工程はひとまず除きます。)の内容を、これと対応関係にあるテスト工程で確認しなければならない、とするものです。実務でも概ね常識と言えるものとなっており、各種のモデル契約でも工程の定義・考え方はこれが前提とされています。例えば、IPAが出しているガイ ...
使えない?ガイドライン考
世の中に、標準やガイドラインの類は、数多くあります。IT関係でも、昔からシステム開発方法論というものがありましたし、共通フレームやモデル契約なども、その範疇に入るでしょう。公的な団体ではなく、業界団体や大手のベンダが自前で用意するものもありました。 これらの「出来」そのものは、それぞれでしょうし、人により考え方によ ...
議事録の役割とトラブル
議事録の重要な役割は、エビデンスとしての役割です。後になって蒸し返しのようなトラブルがあった時に、議事録によって既決事項であることを示せれば、交渉力が違ってきます。もちろん、訴訟になれば証拠にもなります。スルガ銀行と日本IBMの訴訟でも、議事録が証拠として重用されていたことは、記憶に新しいところです。 議事録で一番 ...
情報システムの「テイクオフ」
ベンチャーに限らず、初め小さかった企業が成長していく過程には、様々な「テイクオフ」があります。外部から人を招き入れる、新たな店舗や工場に投資する...株式上場はテイクオフと言うより、一つの目標であるかも知れません。これらは、伝統的なヒト・モノ・カネに関するテイクオフですが、情報システムにも、どこかで乗り越えなければな ...
システム・イコール・規則
情報システムのビジネス・ロジックをどのように定義するのかは、システム開発の肝の一つです。紛争に至った場合、それがどこにどのような形で定義されているのかは、一つの重要な争点となります。原則論を言えば、要件定義や外部設計の中で、設計書や仕様書の形で定義しておくべきですが、現実には、しばしば不十分なままに終わります。しかし ...
ITの進歩と停滞の半世紀
ITの分野は、恐らく他のどのような分野にも増して、進歩の速い世界でしょう。犬の1年が人間の7年に相当することになぞらえたドッグ・イヤーは、技術革新一般についての言葉ですが、その筆頭は何と言ってもITです。ムーアの法則によれば、「半導体の集積密度は18から24か月で倍増する」のだそうで、早晩、集積が原子レベルにまで達し ...