IT法コラム

 喫茶店等で何事か熱心に話し合っていると言えば、以前は生命保険か先物取引の営業と決まっていたものでした。しかし、ここ数年でこれらを圧倒するグループが出現しました。それは、IT事業者です。  しかも、生命保険や先物取引では、どことなくヒソヒソ話であったのが、IT事業者の場合、固有名詞や具体的数字の入ったスライド資料が映写 ...

IT法コラム

 人間には、「不定」であることに耐えられない、という性質があるのだそうです。そのためなのか、極論すれば、ゼロかマイナス100か分からない状態より、マイナス100と決まっている方がまだマシ、などということが起こります。不合理と言えば不合理ですが、あれこれと思い悩まずに済むという心理的メリットだけでなく、マイナス100では ...

IT法コラム

 今から十数年前、パリで行われた世界陸上の男子100メートル準決勝で、椿事が起こりました。発端は、メダル候補と見られていたアメリカの有力選手が、フライング(正しくは、false start)で失格となったことでした。同選手はフライングの判定に抗議して、走路に大の字に寝て抗議したため、競技マナーや不服申立てのあり方にも議 ...

IT法コラム

 人格訴訟とは、相手方に対する人格的非難を公に実現することを目的とした訴訟のことです。良く知られているところでは、離婚訴訟にはそうした傾向が色濃く出ます。そこでは、相手方(つまり現配偶者)を「有責」に追い込むために、徹底した非難の応酬が繰り広げられます。しかも、訴訟では、「(婚姻)破綻の原因は相手方の性格にある」といっ ...

システム開発

 言うまでもないことですが、システム開発プロジェクトにリスクは付き物です。QCDを考えるだけでも、品質不良リスク、コスト超過リスク、納期遅延リスクがあります。そればかりでなく、目的不達成のリスクやプロジェクト自体の破綻のリスクまであります。そこで重要となってくるのがコントロール、その手段として出てくるのが契約やプロジェ ...

IT法コラム

 いわゆる「消えた年金記録」、「宙に浮いた年金記録」の問題が発覚してから10年近くが経ちますが、とても解消とは言えない状態のようです。最悪の場合、記録の不在により受給できるはずのものが受給できなくなるのですから、社保庁の責任は重大です。立派な「債務不履行」であり、民間企業であれば破綻していておかしくない事態です。ただ、 ...

システム開発

 システム開発工程に関するV字モデルは、ある設計工程(以下、いわゆる超上流工程はひとまず除きます。)の内容を、これと対応関係にあるテスト工程で確認しなければならない、とするものです。実務でも概ね常識と言えるものとなっており、各種のモデル契約でも工程の定義・考え方はこれが前提とされています。例えば、IPAが出しているガイ ...

IT判例

 スルガ銀行と日本IBMとの間の訴訟に控訴審判決が出され、即上告となってから1年以上が経過しました。日本IBMのぼほ全面敗訴となった第一審判決では、ベンダの責任の重さがが耳目を集めましたが、控訴審判決では時期を区切ったプロジェクトマネジメント義務違反の判断手法に注目が集まりました。第一審と同様に契約責任に縛られない不法 ...

システム開発

 世の中に、標準やガイドラインの類は、数多くあります。IT関係でも、昔からシステム開発方法論というものがありましたし、共通フレームやモデル契約なども、その範疇に入るでしょう。公的な団体ではなく、業界団体や大手のベンダが自前で用意するものもありました。  これらの「出来」そのものは、それぞれでしょうし、人により考え方によ ...

システム開発

 議事録の重要な役割は、エビデンスとしての役割です。後になって蒸し返しのようなトラブルがあった時に、議事録によって既決事項であることを示せれば、交渉力が違ってきます。もちろん、訴訟になれば証拠にもなります。スルガ銀行と日本IBMの訴訟でも、議事録が証拠として重用されていたことは、記憶に新しいところです。  議事録で一番 ...