As-Isの記述とTo-Beの宣言
それまで順調に動いていたシステムが、突然ダウンしました。よくよく調べてみると、データベースの定義に余計なユニーク指定のあるのが原因でした。この手の話は良く聞きますが、何かのヒントを含んでいるように思えます。 ベテラン技術者の曰く、データベース設計をした担当者は、ユニーク指定の意味が、指定のデータでレコードを一意に特 ...
情報システムの「テイクオフ」
ベンチャーに限らず、初め小さかった企業が成長していく過程には、様々な「テイクオフ」があります。外部から人を招き入れる、新たな店舗や工場に投資する...株式上場はテイクオフと言うより、一つの目標であるかも知れません。これらは、伝統的なヒト・モノ・カネに関するテイクオフですが、情報システムにも、どこかで乗り越えなければな ...
違法ダウンロードと犯罪
いきなり刑法の条文から入りますが、刑法235条には、「他人の財物を窃取した者は、……10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」とだけあります。つまり、他人の物を盗んでいいのかどうかという点を飛ばして、ただ刑罰の点だけを規定しているわけです。この話を聞くと、「それなら、懲役や罰金を覚悟すれば、他人の物を盗んでも ...
リーガルチェックと法的リスク
契約書のリーガルチェックの目的は、契約にまつわる法的リスクへの対応です。リスクとは、「有利になるかも知れないが、不利にもなり得る」という不確定性を言いますから、単純な有利/不利とは話が違います。よく、リーガルチェックの際に、「出来るだけウチに有利に」と言う人がいますが、本当にそれだけのことならリーガルチェックなど要ら ...
科学理論のテストと情報システムのテスト
以下は、ある著作からの引用です。「できるかぎり立派に○○を確立することがわれわれの目的であるからこそ、われわれはその○○をできるかぎり厳格にテストしなければならないのであり、コトバを換えていえば、その○○の欠点を見出そうとし、それを反証しようと務めねばならない」、「われわれの最善の努力にもかかわらずそれを反証できない ...
「コンピュータ対人間」の行く末と人間疎外
コンピュータ・チェスの世界では、既に10年前、IBMのディープブルーが当時世界チャンピオンのカスパロフ氏を打ち破り(盤外戦の故との話もありますが)、コンピュータ将棋でも、先日、米長元名人(現役は引退されていますが)に勝利しました。難しいと言われているコンピュータ囲碁でも、並みのアマチュアでは敵わないレベルにまで、格段 ...
協議条項とプロジェクト計画
協議条項という、恐らくは日本独特の契約条項があります。「本契約について疑義を生じた場合、信義誠実の原則に従い甲乙協議し、円満に解決を図るものとする。」というようなものです。日本人論で著名な山本七平氏は「日本資本主義の精神」の中で、協議条項は要らないと述べています。協議条項があってもなくても、日本人同士の契約は、結局は ...
システム・イコール・規則
情報システムのビジネス・ロジックをどのように定義するのかは、システム開発の肝の一つです。紛争に至った場合、それがどこにどのような形で定義されているのかは、一つの重要な争点となります。原則論を言えば、要件定義や外部設計の中で、設計書や仕様書の形で定義しておくべきですが、現実には、しばしば不十分なままに終わります。しかし ...
ITの進歩と停滞の半世紀
ITの分野は、恐らく他のどのような分野にも増して、進歩の速い世界でしょう。犬の1年が人間の7年に相当することになぞらえたドッグ・イヤーは、技術革新一般についての言葉ですが、その筆頭は何と言ってもITです。ムーアの法則によれば、「半導体の集積密度は18から24か月で倍増する」のだそうで、早晩、集積が原子レベルにまで達し ...
情報システムの完成基準(東京地判平14.4.22)
事案 石材の加工販売業者である被告は、旧システムの老朽化に対応するめ、外部コンサルの作成した概要提案書を基に、販売管理を始めとする全社システムの構築をITベンダである原告に委託した。ところが、システムの開発作業の過程で、開発を要する機能及び工数が増加することが判明し、稼働の期限直前になっても、進 ...