システム開発

 システム開発委託のモデル契約書で良く利用されているのは、経産省の研究会による「情報システム・モデル取引・契約書」で、伝統的な受託開発中心の第一版の後、中小企業でのパッケージ利用等を意識した追補版も出ています。超上流工程やマネジメントの重視、変更管理の徹底、重要事項説明書の導入など、システム開発に固有の論点に様々な知見 ...

システム開発

 情報システムは、その企業固有のカスタムメイドのものですから、開発をベンダに委託したとしても、ユーザは必要な情報提供などの協力義務を負います。のみならず、ユーザは、当該システム(あるいは開発プロジェクト)のオーナーとして、ベンダの業務について、厳しく目を光らせる必要があります。  もっとも、少なくとも法的には、ベンダが ...

システム開発

 通常のシステム開発委託契約は、ベンダが総合テストを終えると一旦「納品」し、これをユーザが運用テストや受入テストなどの形で「検査」をし、それに合格すると「検収」となり、その後「本稼働」を迎えるというものです。今回考えてみたいのは、この「検収」と「本稼働」の関係です。 二つの品質確認 - 検収と稼働判定  上に見たように ...

システム開発

 一時期、情報システムのTCO(Total Cost of Ownership)ということが喧伝されました。新規システムの導入時に、導入コストだけでなくその後のランニングコスト(運用・保守コスト)を考慮して初めて、正確な費用対効果が出せる、というものです。恐らく、このTCOの考え方は、改めて「TCO」などと言うまでもな ...

システム開発

 システム開発にデータ移行はつきものです。しかし、開発本体の契約が請負とされる場合でも、データ移行の部分だけは準委任として切り出されることがあります。ベンダとしては、移行対象データの正確性にまでは責任を持てないため、完成義務はとても負えないということなのでしょう。  もっとも、請負だと見ても、ベンダは移行計画どおりに最 ...

システム開発

 システム開発に途中での仕様変更はつきものです。経産省のモデル契約書でも、これに対処するために、変更管理の条項を手厚くしています。しかし、その内容は主に手続面に限られており、十分とは言えません。具体的に何が仕様変更に当たるのかの具体的な基準がなければ、事は解決しないのです。  これについて、一般的には、「ユーザの承認を ...

システム開発

 システム開発委託契約は、一応は、民法上の典型契約である請負の類型に入るものと考えられています。しかし、請負そのものではありません。その最大の違いは、発注者であるユーザが、オーダーメイド・システムの開発に必要な情報を提供するなどの「ユーザ責任」を負っている点にあります。このような「ユーザ責任」は、裁判例にも「協力義務」 ...

システム開発

 一昔前のシステム開発契約のトラブルの典型は、(ユーザが伝えなかったのか、ベンダが理解しなかったのかはともかく)テストの段階になって、アプリケーションの仕様が業務に合わないことが発覚し、もはや作り直すしかなくなる、というものでした。アプリケーション仕様は、業務とシステムという異質なものの接点ですから、これが難しいのは、 ...

システム開発

 プロジェクトマネジメントは、一定規模以上のシステム開発にとって、不可欠のものです。システム開発は、単なる設計・開発業務の集積ではなく、プロジェクト、すなわち「一定の期間内に、新たな成果物を創り出すことを目的として実施される一連の活動」なのです。このような創造性が高く、人的にも物的にも管理が難しい活動のコントロールには ...