契約書の著作権と再利用
契約書に何らかの権利は認められるのでしょうか。契約書の内容、つまりその契約書による取引の事実であれば、不正競争防止法上の営業秘密となったり、NDAで秘密情報に組み込まれたりすることがありますが、文面そのものとなると著作権の問題となります。この点、契約書の文面も文字による表現であり、また、一定の法的思考の成果なのですか ...
ウェブ利用に見る著作権の常識
所有権が「モノ」に対する権利であるのに対し、著作権は「情報」に対する似たような権利であると見られることがありますが、著作権の方はかなり人工的、政策的な権利です。所有権が全面的な支配権と言われるのに対し(これも美術品や廃棄物等を考えると程度問題ではありますが)、著作権では権利者の保護と公共財としての利用との間のバランス ...
情報結合による個人情報化
ある企業Aの下に、ある個人の電子メールアドレスと病歴データのセットがあるとします。ここで、電子メールアドレスは「abc123@xyz.com」という、それ自体で個人を識別できるものではないとします(「taro-yamada@its-law.jp」というようなものであれば別ですが)。また、病歴データはプライバシー性が極 ...
情報システムの法的保護
プログラム、すなわち「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの」に著作権法上の保護が及び得るのは、以前に述べたとおりです。では、情報システムを構成する他の要素には、どのような保護が予定されているのでしょうか。 まず、設計書やマニュアルのようなドキュメ ...
プログラムの「使用」と著作権法
2010年1月に、コンピュータ関連の著作物の利用の円滑化を図るための著作権法の改正がなされました。その中に、「電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合...情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる」 ...
値段のつかない著作権の価値
システム開発委託契約で、成果物の著作権をベンダとユーザのいずれに帰属させるのかは、激しく議論されているところです。ベンダからは、著作権法上の原則である、社会的な生産効率の向上につながる、ユーザの優越的地位の濫用の疑いがある、等々が主張されます。ユーザからは、開発費用を全部負担している、著作物には自己のノウハウが入って ...
著作権と自称「パッケージ」
「納入物の著作権の帰属」で、カスタムシステムは「たとえ一部であっても、そのままでは使えない」と書きましたが、モデル契約書ではパッケージ化のような、より積極的な使い方を想定しています。しかし、純然たる汎用モジュールのようなものを除けば、これにはベンダにとっても大きな危険が潜んでいます。 ベンダが同業他社向けに開発した ...
納入物の著作権の帰属
経産省のモデル契約書における納入物の著作権(第45条)は、ベンダ帰属、ユーザとベンダの共有、ユーザ帰属の三論鼎立となり、JISAのモデル契約書よりは柔軟になりました。しかし、「汎用的に利用が可能なプログラム」(これも範囲が良く分かりませんが)はともかく、システム本体の著作権をベンダに留保させることには、少々違和感があ ...