使えない?ガイドライン考

システム開発

 世の中に、標準やガイドラインの類は、数多くあります。IT関係でも、昔からシステム開発方法論というものがありましたし、共通フレームやモデル契約なども、その範疇に入るでしょう。公的な団体ではなく、業界団体や大手のベンダが自前で用意するものもありました。

 これらの「出来」そのものは、それぞれでしょうし、人により考え方により、評価も異なることでしょう。それでも、総じて言えば、水準以上のものではあるはずです。しかし、これらの全てに共通する、最大の欠点があります。それは、大部に過ぎることです。
 これはある意味、避けがたいことではあります。標準やガイドラインを謳って世に出す以上、最大規模のプロジェクトで利用される可能性がありますから、あれもこれもと詰め込みます。プロジェクトの性質も多岐にわたりますから、最大公約数的に論点を取り込もうとします。学術的(?)にも、せっかく考察した論点を切り捨てるのは、忍びないことでしょう。何より、ガイドラインには、網羅性の要求があります。項目を落とせば、「欠けている」、「不完全」との批判を受けかねません。
 しかし、実務では、大部過ぎるガイドラインは、かえって役に立ちません。不可欠の5項目、10項目をどうしようかと躍起になっているところで、300項目のガイドラインがあっても、使いこなせません。これは特に、中小のプロジェクトあるいは企業という、最も手助けが必要なところでの偽らざる実感でしょう。さりとて、あえて絞り込んだガイドラインを世に問うのも、かなり勇気が要りそうですが……