システム開発

 システム開発にデータ移行はつきものです。しかし、開発本体の契約が請負とされる場合でも、データ移行の部分だけは準委任として切り出されることがあります。ベンダとしては、移行対象データの正確性にまでは責任を持てないため、完成義務はとても負えないということなのでしょう。  もっとも、請負だと見ても、ベンダは移行計画どおりに最 ...

IT法務

 システム運用の委任契約書には印紙税はかかりませんが、システム開発の請負契約書には「2号文書」として印紙税がかかります。契約額が10億円を超えると、印紙税も40万円になりますから、馬鹿になりません。  だからといって、内容的に請負の類型の契約について、契約書だけ「委任契約書」とタイトルを付けても、委任契約に化けるわけで ...

知的財産権

 システム開発委託契約で、成果物の著作権をベンダとユーザのいずれに帰属させるのかは、激しく議論されているところです。ベンダからは、著作権法上の原則である、社会的な生産効率の向上につながる、ユーザの優越的地位の濫用の疑いがある、等々が主張されます。ユーザからは、開発費用を全部負担している、著作物には自己のノウハウが入って ...

システム開発

 システム開発に途中での仕様変更はつきものです。経産省のモデル契約書でも、これに対処するために、変更管理の条項を手厚くしています。しかし、その内容は主に手続面に限られており、十分とは言えません。具体的に何が仕様変更に当たるのかの具体的な基準がなければ、事は解決しないのです。  これについて、一般的には、「ユーザの承認を ...

システム開発

 システム開発委託契約は、一応は、民法上の典型契約である請負の類型に入るものと考えられています。しかし、請負そのものではありません。その最大の違いは、発注者であるユーザが、オーダーメイド・システムの開発に必要な情報を提供するなどの「ユーザ責任」を負っている点にあります。このような「ユーザ責任」は、裁判例にも「協力義務」 ...

IT法務

 システム開発委託契約のような役務提供型の契約では、しばしば請負と委任(正確には準委任)の区別が問題になります。請負と委任の区別は、それほど難しくない民法の基礎ですが、実務では意外なほど混乱ないし誤解が見られます。 1.委任でも成果物はあり得る  請負は成果物を作成するが、委任は作業するだけであって成果物は出てこない、 ...

システム開発

 一昔前のシステム開発契約のトラブルの典型は、(ユーザが伝えなかったのか、ベンダが理解しなかったのかはともかく)テストの段階になって、アプリケーションの仕様が業務に合わないことが発覚し、もはや作り直すしかなくなる、というものでした。アプリケーション仕様は、業務とシステムという異質なものの接点ですから、これが難しいのは、 ...

システム開発

 プロジェクトマネジメントは、一定規模以上のシステム開発にとって、不可欠のものです。システム開発は、単なる設計・開発業務の集積ではなく、プロジェクト、すなわち「一定の期間内に、新たな成果物を創り出すことを目的として実施される一連の活動」なのです。このような創造性が高く、人的にも物的にも管理が難しい活動のコントロールには ...

知的財産権

 「納入物の著作権の帰属」で、カスタムシステムは「たとえ一部であっても、そのままでは使えない」と書きましたが、モデル契約書ではパッケージ化のような、より積極的な使い方を想定しています。しかし、純然たる汎用モジュールのようなものを除けば、これにはベンダにとっても大きな危険が潜んでいます。  ベンダが同業他社向けに開発した ...

知的財産権

 経産省のモデル契約書における納入物の著作権(第45条)は、ベンダ帰属、ユーザとベンダの共有、ユーザ帰属の三論鼎立となり、JISAのモデル契約書よりは柔軟になりました。しかし、「汎用的に利用が可能なプログラム」(これも範囲が良く分かりませんが)はともかく、システム本体の著作権をベンダに留保させることには、少々違和感があ ...